暖かい日が続き、春の訪れを感じる季節になりました。
3月の卒業シーズンが終わり、4月から新しい環境に入る人も多い時期です。

職場では新入社員を迎える準備をしているところも多いのではないでしょうか。
新しい仲間が増えるこの時期は、働くことや仕事との向き合い方を改めて考えるよい機会でもあります。

訪問看護の現場でも、働き方や仕事に対する考え方について相談を受けることがあります。
とくに若い世代の方から「やりたいことができない」「職場が合わないかもしれない」といった声を聞くこともあります。

そこで今回は、訪問看護の現場で働く中で感じている「仕事の捉え方」についてお話したいと思います。

離職の理由に隠れている価値観のズレ

一般的に、離職率が高くなる理由の多くは人間関係だと言われています。
しかし実際に話を聞いてみると、人間関係だけが原因ではないケースも少なくありません。

その背景には、自分が大切にしている価値観がはっきりしていないということがあります。
また、自分が本当にやりたいことが、今の職場でできているのか分からないという悩みも耳にします。

一見すると組織の問題のように見えることでも、よく話を聞くと本人の中にある課題であることも多いものです。

たとえば、
「やりたいことができない」
「思っていた仕事と違う」

このような思いの背景には、自分がどんな働き方を望んでいるのかが整理できていないということがあります。

訪問看護の仕事でも同じです。
利用者さんとじっくり関わりたい人もいれば、医療的なケアを深めたい人もいます。
また、地域医療に貢献したいという思いを持つ人もいます。

どれも大切な考え方ですが、自分の価値観が分からないままだと、職場とのズレを感じやすくなります。

若い世代に多い仕事の考え方

最近の若い世代は、生活を基準に仕事を選ぶというよりも、
「自分がやりたいことができるかどうか」を大切にする傾向があります。

これはとても自然な考え方です。
やりがいを感じながら働くことは、長く仕事を続けるうえでとても大切だからです。

しかしここで一つ注意したいことがあります。
それは「やりたいこと」の内容が抽象的すぎる場合です。

たとえば、
「成長したい」
「やりがいのある仕事がしたい」

このような目標は素晴らしいものですが、少しあいまいでもあります。

目標がはっきりしていないと、うまくいかない理由を外部の環境のせいにしてしまうことがあるのです。

「人間関係が悪いからできない」
「環境が整っていないからできない」

このように考えてしまうと、本当の課題が見えなくなってしまいます。

そのため、
・自分は何を大切にしているのか
・どんな働き方をしたいのか
・どんな看護師になりたいのか

こうしたことを言葉にして整理することがとても大切です。

仕事と働くことの違いを考える

ここで一度、「仕事」と「働く」という言葉の意味を考えてみたいと思います。

一般的に仕事とは「仕える事」と書きます。
つまり、組織や会社から求められることに対して、自分の能力を使って応えていく、ということです。

訪問看護の仕事であれば、
利用者さんやご家族の生活を支えること。
地域医療の一員として役割を果たすこと。

こうした求められていることに、専門職として応えていくことが仕事になります。

一方で、「働く」という言葉は「人が動く」と書きます。
これは、自分から意欲的に動くことを表しています。

つまり、
仕事=求められていることに応える
働く=自分から行動する

という違いがあるのです。

この2つは似ているようで、実は少し意味が違います。

やりたいことと組織の役割は必ずしも同じではない

多くの人が悩むポイントはここです。

自分がやりたいことと、組織から求められることが、必ずしも同じとは限らないということです。

組織で働く以上、自分のやりたいことだけを主張してもうまくいかないことがあります。

訪問看護の現場でも同じです。

たとえば、
「もっと専門的な看護をしたい」
「リハビリの知識を深めたい」

そう思っていても、まずは利用者さんの日常生活を支える基本的なケアが求められることもよくあります。

それは決して遠回りではありません。
むしろ基礎を積み重ねることで、信頼や経験が増えていくことになります。

信頼される人がチャンスを得る

仕事をするうえでとても大切なことがあります。
それは「人から頼られる存在になること」です。

職場では、信頼される人に仕事が集まります。
そして新しい挑戦の機会も、そのような人に巡ってきます。

もし今、
「やりたいことができていない」
と感じているのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。

今、求められていることにしっかり応えられているでしょうか。

目の前の仕事に全力で向き合うこと。
小さなことでも丁寧に取り組むこと。

こうした積み重ねが信頼につながります。

訪問看護でも同じです。
利用者さんとの関係づくりや、日々のケアの質を高めることが、看護師としての成長につながります。

自分を磨くために大切な姿勢

成長したいと思うとき、人はつい特別な経験を求めてしまいます。
しかし本当の成長は、日々の積み重ねの中にあると思うのです。

どんな仕事にも意味があります。
どんな経験にも学びがあります。

目の前の仕事をおろそかにしてしまうと、大きなチャンスが来ても活かすことができません。

訪問看護の仕事は、利用者さんの生活に寄り添う仕事です。
小さな変化に気づくこと。
丁寧に話を聞くこと。
安心してもらえる関係を築くこと。

こうした日々の関わりが、看護師としての力を育ててくれます。

まずは今求められていることにしっかり向き合うこと。
そのうえで、自分がどんな看護師になりたいのかを考えていくこと。

その積み重ねが、やりたいことを実現する力になっていくのではないでしょうか。

今後も、キャリアに関する発信もしていくので、またご覧になっていただけたら嬉しいです。